オーナーの計らいもあって、俺が接客する客は金に余裕があるお客が多く、エリコさん程ではなかったが、使う金額も一般人には考えられない金額だった。

一晩で何十万と使っていくお客もいたし、何百万なんていう客もいた。


まさに異空間。


俺には考えられない世界だった。


戸惑う気持ちも最初だけで、一ヶ月も過ぎると俺もこの世界の一員になっていた。


オーナーや拓真、一番にはエリコさんのおかげもあって、俺の客はうなぎ上ぼりに増え続け、入店二ヶ月目にはナンバーワンと呼ばれる地位を築いていった。


素質があったというより、拓真の助けやオーナーの気遣い、なによりも金が必要だという俺の想いが、俺を非道にさせた。


ホストをしている時は常に金のことしか俺は考えていなかった。

 
高校に行きながらのホストは体力的にも厳しいかと思っていたが、元々高校に行きながら建築現場で働いていた俺にとって、座って酒を飲んで会話するという仕事内容は建築現場に比べてさほど厳しいとは感じなかった。

ただ、酒を飲みすぎた日だけは二日酔いで、吐きながら授業を受けていたが。

飲みすぎないように気をつけてはいたが、飲みキャラの拓真にだけ飲ませるのはさすがに悪いと思い、俺も金の為、飲むしかなかった。



一ヶ月目にして俺が手にした給料は百万を超えていた。