オーナーは俺を期待の新人として金がある太そうな客の席だけに着けた。

「俺も昔ホストやってたから売れそうな奴はなんとなく分かるんだよ、智也君は若い女よりも年配受けする顔だな」
 
オーナーに期待されているのは充分分かっていた。











が、俺は顔には少なからず自信はあったが、全くもってしゃべりには自信がなかった。


仮にも接客業といわれるこの仕事。


金の為この世界に飛び込んだといえ、しゃべりが出来ない俺にとって、顔だけではどうにもならない場面もよくあった。


入店早々、俺には向いていないとさえ思った。


口が達者な先輩ホストを見ていると、どこからそんな言葉が飛び出すのか不思議で仕方がなかった。