「まぁそんなとこ」

「うっわ、やっぱそうなんだ?女子が噂してる通りじゃねーかよ。飛んで帰ってまだ会いたい女ってどんな女なんだよ?貴公子みたいな涼しい顔しやがって、このエロが!」

よく分からないが拓真は興奮して、息が荒かった。

「そんなこと言って、拓真だってよく女から電話掛かってきてるじゃねーかよ。拓真は気づいてねーと思うけど拓真の電話すぐ女って分かるぞ。女から電話掛かってくると拓真の声って変わるんだよな。聞いてるこっちが気持ち悪くなるって」

「はぁ~?」

「とぼけんなって」

拓真はバツが悪そうに、半笑いを浮かべていた。

「俺はお前とは違って彼女とかいねーし」

「じゃあなんなんだよ?」
 
こうして話してる間にも拓真の携帯は激しいラップ調の着メロがひっきりなしに鳴る。

「ちょっとごめんな」

俺が言ったことを気にしているのか、拓真は声が聞こえないように俺から離れて電話に出ていた。

離れた意味も虚しく、声がデカイ気持ち悪い声は俺の方まで聞こえていた。