拓真はよくしゃべる奴だった。

柔軟体操をしている間中しゃべるしゃべる、今までクラスの人たちを威嚇し、一匹狼のような態度をとっていた拓真からは考えられない世間話やつまらないギャグを連発し、そのギャップに俺は驚きを通り越して、引いてしまった。

俺の顔は終始引き攣っていたかもしれないが、次第に一方的に止まらない拓真のしゃべりが不思議と心地良さに変わり、柔軟体操が終わる頃には拓真が言うつまらないギャグに俺は軽くツッコミをいれたりしていた。

思えば大きい口をしている奴はよくしゃべる奴なんだと第一印象で決めつけるようになったのも、拓真の存在があったからだ。