「今日は柔軟体操をするぞー。適当に二人組みを作れー」

クラスの男子とろくに話したこともない俺にはいくら適当にと言われても、無理な話だった。

「人数はぴったりなはずだから、余ったものは余ったもの同士二人組みを作れー」

先生の言葉どおり、余ったもの同士とは俺と拓真だけだった。

俺と拓真はお互い目も合わさなかったが、お互い余りものという認識はあったようで、その場に立ち尽くしていた。

「お前ら何やってんだよ、早く二人組み作れ」

先生に一喝され、俺と拓真はしぶしぶお互いに近寄った。

「俺ら余りモノ同士仲良くやろうぜ」
 
始めに言葉を発したのは拓真の方だった。

「おう」
 
俺が返答すると、拓真はイカツい顔には似合わない大きい口でニッと笑った。