日々の生活は苦しかったが、俺は平気と辛かったという記憶はなかった。

おふくろは自分が食べなくても俺にはちゃんと三食食べろと言ってご飯を作ってくれた。

仕事に忙しいおふくろと会える時間は滅多になかったが、それでも食卓の上にはラップで包まれた料理が置かれていた。

食事もいつも決まったメニュー、卵焼きに、ご飯、味噌汁、これが切り詰めた生活の中で精一杯のメニューだったが、俺はおふくろの料理、特に味噌汁が大好きだった。

おふくろの味噌汁が嫌なこと全てを吹っ飛ばすくらい美味しくて、おふくろも美味しいと言った俺の言葉を聞いて笑顔でいてくれた。


「おふくろもご飯食べてよ」