何が起きたのか状況が理解できないまま、借用書が大量に、催促の電話が鳴り止まない。

借金取りが押しかけ、もともと裕福ではなかった生活が、それ以上に一変した。


どうして親父はいなくなったのか。

何があったのか。


俺はお袋に聞くことはできなかった。


おふくろも親父を探そうともしなかったし、親父のことには触れようとしなかった。

子供心におふくろは傷ついている、親父のことを俺が聞いたとしたらおふくろはもっと傷ついてしまうかもしれない。



親父の話題は一切出さなかった。