「今日から智也は伊藤拓也って名前で働いてもらうわ。肩書きも会社社長のエリートってことで。年齢も対象者のタイプによって変えてもらうからよろしく」

「まじかよ」

「言葉遣いにも気をつけてね」

今俺が任されている案件は、奥さんが涙ながらに訴えてきた『旦那と愛人を別れさせて!』と依頼してきた案件。
 
愛人となる対象者は前田理恵という二十六歳の派手な女だった。

会社員と言っていたが、服装は露出が高い服を着ているし、化粧も濃い。

香水の匂いが鼻をつく。

俺がホストで働いていた頃と同じ客の匂いがした。
 
エリコさんはこの案件は難しいと言っていたが、対象者の理恵と接触してみると難しいなんてこともなく、俺の手の中に納まった。
 
 
俺が理恵と接触したのは一ヶ月前。