家の前に着くと並べられている植物は
僕たちが買ったサボテンと同じで、
人影は相沢と河野だということが分かった。

女性は僕たち3人を家の中へと案内すると、
「お掛けになって」と言って奥の部屋へ行った。

丸いテーブルは年季が入っていて、
淵はところどころそのこげ茶色が剥げていた。

「おせーよ」
と相沢が椅子に腰掛けて言った。

「おまえと違って島田は
 正規ルートで来たんだから、な?」

と言う河野は相沢のすぐ隣の椅子に腰掛けた。

久しぶりに見る河野は無精ひげを生やし、
女のように柔らかい髪が茶色く焼けていた。

「トランジットにあんなに時間がかかるとはね」

僕はヒューストンの空港で7時間以上、
待ったことを思い出して言った。

すると女性が、両手に
ワインとグラスを持って戻ってきた。

「特別なワインを、プレゼントしますね」

彼女はテーブルにグラスを並べながら言った。