バスを降りると一気に蒸し暑さが襲い、 歩道の脇に沿って歩く僕は、 地面からゆらゆらと揺れて湧き上がる陽炎を見ていた。 腕に絡みつく湿った空気とは対照的に、 ひどく喉が乾いていた。 全身の筋肉が痛み、 激しい眠気にも襲われていた。 僕は確かにここに向かっていたのだけれど、 ここがどこで、 どれくらいの旅をしてきたのか、 まったく思い出せず、ただ歩き続けた。