「他人の心を不可抗力で自分に向かせるようなこと、
僕にはできない、それなら、
自分を愛してくれる人を愛せるように、
自分の心を動かして欲しいって願うかな」
相沢はしばらく黙っていた。
僕は冷たい雨をすぐそばに感じながら、
サキの想いに守られ、愛される喜びと、
それに答えられない少しの罪悪感を感じていた。
信号が赤から青に変わり、
僕は横断歩道を渡り始めた。
『おまえと奈津美って、似てるんだな』
相沢の言葉に、奈津美の願いを思った。
その瞬間、右側から射す光と共に、
僕は自分の体に大きな衝撃を感じた。
まるで飛行機が離陸するかのような
感覚で体が宙に浮き、
その意識が落ちていくのを感じながら僕は。
サキがくれたプレゼントが
割れ物でないことを願っていた。