店を出て、サキをタクシーに乗せたとき、 頬に冷たい感触があった。 「今日はおめでとう、おやすみ」 と言ってサキは、折りたたみ傘と一緒に 小さな袋を僕に渡してくれた。 僕は雨が本格的に降り出す前に駅に着きたいと思った。 ケータイで時間を確認すると、 21時半を回っていた。 そして相沢からの着信に気がつき、折り返した。