送信ボタンを押したとき、

「モテる男はメール返信がマメ、と。」

と言いながら相沢が隣に座った。

「あれ、昼から来るんじゃないの」

僕はケータイを閉じてコンビニの袋から
ペットボトルの水を取り出してフタ開けながら言った。

相沢はその袋を覗いて見ると、

「おっさすが同胞の友、
 おまえが女だったら結婚してやんよ」

と言ってタバコを取り出した。

「借りは返さないと」

僕はそう言いながら、こんな日は、
久しぶりに河野と3人で飲みたいと思った。

「借りなら更に作るぜ、
 なんたって水曜の昼はあの教室で
 奈津美とチョメチョメだろ?
 だから気を使って早起きして、
 課題を見せてもらいに来たわけですから」

「表現が下品です」

そう言ってレポートを相沢に渡した。

「島田博士さまさま~」

と朝からいつになくご機嫌な相沢は、
レポートをひらひらとさせて、
教室の一番後ろの席に移動していった。