繋いだ手のひんやりとした輪郭は細く、 僕は戸惑っていた。 学食までのその道は永遠に感じるのと同時に、 夢のような儚いまぼろしにも見えた。 奈津美の無邪気な言動の中には いつも残酷さが同居していて、 それを感じることができる僕は、 間違いなく彼女に恋をしていた。 想いは風化されずに引き続き存在し、 脳で感じているはずのその感情は、 遠く放れた胸の真ん中で疼き、 【僕の心の場所】を僕自身に教えてくれた。