相沢の買ってきた大量の缶ビールの半分をあけ、
血中アルコール濃度が0.1%を越えた頃、
僕たちの会話はいつもどおりに盛り上がった。

遠くからこだまするアナウンスと共に、
次々と花火が打ちあがった。

「リアカー無きK村、動力借りるとするもくれない馬力」

相沢が虚ろな表情で呟いた。

「黒魔術か何か?」
奈津美はケータイを花火に向けながら言った。

「炎色反応の覚え方だよ、
 リチウムが赤で、ナトリウムが黄色、」

僕がそう言いかけると、
相沢が奈津美のケータイのカメラに向かって
ピースしていた。

「もう!」奈津美は相沢をよけて再び
ケータイを明るい夜空に向ける。