嘘だとしたら僕は
かなりの口説き上手ってことになる。


だからそれ以上の発言は控えて、
少し離れた席に僕は座り、
ポケットからケータイを
取り出してみたけれど、
新着のないそれにすぐ飽きてしまった。

「どうして、ひとりでここにいるの?」

あくまで暇つぶしに過ぎない僕は
答えを期待せずに彼女にはなしかけた。

すると一度で振り返った彼女に、
音楽は消したことを確認できた。

「私ですか?」

周りをわざと見渡して頷いた。

「けど状況的には、あなたもですよね」

「そうなんだけど、
 昼休みに一人で空き教室にいる
 女の子を、僕は他に知らないからさ」

彼女は意地悪そうな笑みを浮かべて言った。

「女友達、少ないんだね」


急にタメ語になった彼女に、
すごく嬉しくなってしまった僕は、
この時点で自分自身に嘘を着くのをやめた。