その話をすると奈津美は、
相変わらず似ているようで全く平行線上にある
僕たち二人の性格に興味深く頷き、同意した。

やがて食事と同時に運ばれてきた時、
奈津美の頼んでいた【豆乳ラテ】は
店員のトレンチの上でバランスを崩してこぼれ、
彼女のグレーのTシャツがチャコール色に変わった。

「申し訳ありません、いまタオルを」

そういって黒いロングへアの店員は、
トレンチをとなりのテーブルに置いて戻った。

奈津美はびっくりして椅子を引き、
僕がナプキンを渡すと「ありがとう」と言って
隣の椅子においたストローハットを気にしていた。

「あらあら」相沢が先におかれたジンジャエールに
ストローを挿しながら言った。

タオルを持って来た店員は唇をキュっとひき、
申し訳なさそうに奈津美の服を拭いた。

「本当にすみません」

店員が言うと奈津美は笑って「大丈夫ですよ」
と言い、店員の指先に目をやった。