僕らが近づくと男たちは振り返り、
決まりが悪そうな顔をした。
無言で彼らに【ツレ】だと知らせようとした
僕とは違い相沢は奈津美に近寄って、
「なになに奈津美の知り合い?
ぼくも仲間に入れてよ!」
と笑顔で言った。
彼らは苦笑いをして立ち去り、
奈津美は腹をかかえて笑っていた。
相沢の奇怪な言動には慣れているはずの僕も、
さすがに声を出して笑った。
その毒舌は時に人を不愉快にもするけれど、
こんな風に、誰も傷つかないおさめ方、
結局は笑いに変えてしまう様子を見てなぜか僕は、
相沢が冷蔵庫を開けて、何も買い足さずに
何品か料理できるセンスを持っていることを思い出した。