テスト期間中の学食は
学生でごった返していた。

すべてのテストを終えていた僕たちは
学内にいる必要もなかったので駅前に向かった。

「あ、サボテン女の店に行こうぜ」

相沢がポケットからタバコを取り出した。

「いいけどよろしくないね、歩きタバコは」

「いいのか悪いのかどっちだよ、
 それにそもそも歩きタバコはダメで、
 携帯灰皿を推奨するほうが矛盾してるだろ、
 うん、お前はやっぱり役人になるべきだ」

相沢の発言は、早すぎる夏の太陽に似て、
どこか理不尽だけど圧倒的な生命力を感じる。

僕はあの店がランチタイムから
営業しているのか気にしながら、
なるべく日陰を選んで歩道の内側を歩いていた。