「河野がさ、また、やらかしたらしい」

僕の発言に相沢が反応しないので
顔をあげると、
相沢はスプーンを左右に振っていた。

僕が振り返ると奈津美が、
昨日より大きなレンガ色のバッグを提げて
僕たちの席にやってきた。

「おはよ!」

「椅子持ってこいよ」

相沢が言うと奈津美は荷物を床に置いて
一つ向こうのテーブルから椅子を両手で
持ち上げ、僕の横に割り込ませた。