僕が白いトレーにハヤシライスと
ナポリタンを乗せて席に戻ると、
相沢は自販機でウーロン茶とコーラを
買ってきたようだった。

テーブルの上には僕の長財布が置いてあって、
その横には大きく膨れた小銭入れも置いてあった。


例えば僕はコンビニで会計をするとき、
まずは小銭入れを確認してから
つり銭の枚数が最小限になるようにして支払いをする。


けれど相沢はまず僕の長財布から千円札を取り出し、
戻ってきてからつり銭を入れるものを探して、
そのすべてを小銭入れに入れたんだろう。

何も言わずに互いの財布から支払いをする
共通の思考と相反したその性格は、
実に神秘的だと思って笑えた。