理系の学部の講義は大抵が北校舎だ。

その4階奥、資料室の隣の教室が、
水曜3限の授業がなく、空き教室だと知るまでに
そんなに時間はかからなかった。


それからというもの、
よく僕はそこで一人の昼休みを過ごした。
本を読んだり、居眠りをしたり、
統計力学のレポートを書いたりしていた。

ときには付き合っている社会人の彼女から
ランチ帰りに電話が来て、
彼女の上司の愚痴を聞いたりすることもあった。

ケータイが使えないと「便が悪い」と思ったのは、
束縛がちな彼女のせいでもあった。

そして僕が毎週水曜、
この404教室に通うようになってから
そろそろ2ヶ月が経とうとしていた。