「今日は部活がある日ですね!
部活動は好きなのでとても楽しみです。」

「咲菜は部活、ほんとに好きだよな。」

中学1年の時、中高一貫の
この学校で6年間所属することになる
部活を咲菜と同じが良いからという
理由で決めてしまったことを思い出す。

高1になっても、関係が変わっても
僕たちは同じ部活に所属し続けていた。

僕たちが所属しているのは
部員が5人の超弱小美術部で、
今は僕が部長をしている。

「涼くんは部活が好きではないのですか?」

尋ねられて歩いていた足が止まる。

なんて答えるべきなのだろうか。
迷った末に僕は小さく笑った。

「別に嫌いな訳じゃないよ。
だけど、今は美術室に入れない。」

もう2度と、あそこには行きたくない。

君のかつての面影が色濃く残る
あの部屋にだけは"あの日"から
1年がほどたった今も
足を踏み入れることが躊躇われた。