私は彼方くんの手を握った。
彼方くんはビクリと肩を揺らし顔を歪めた。
「でも、私になら怖いとかうざいとか面と向かって言っていいよ」
そう微笑むと、彼方くんは目を見開いた。
何言ってるんだ、と目で問いかけている。
「そりゃ、傷つくだろうけどさ。わかってるから。私だってね、男の人少し苦手なの。というか人が苦手……?えへへ、よくわかんないや」
そう笑って言葉を続ける。
「熱のせいかもしれないけど、今こうやって彼方くんは私の話を聞いてくれてるじゃん。ほらね?彼方くんは優しいんだよ」
そう言いきり、彼方くんの手を離した。