女の人が口を開く。

「死体を人形のように着飾る…だったかしら?」

当たり前のことをなぜ聞いたのだろうか。

私自身も理解ができず、勝手に口が開く。

『その人の考え方がわかったりしますか?なにかヒントをください!』

私にしかできないこと。

そう思う度責任感が強くなる。

「必死なのね。」

そこまで必死だっただろうか。

「彼女は退屈を嫌うの。」

女の人が急に語り出した。

「そして人を嫌うのよ。」

『彼女…?退屈…??』

頭の中で必要な言葉だけがループされていく。

「そう。彼女は孤独を好む。そして退屈を嫌うの。」

孤独を好む。退屈を嫌う。何故だろうと疑問も浮かべながらも話を聞く。

「彼女は一流の人形師。人形師の中でも有名だわ。彼女は人形を愛しているの。彼女は彼女が作り出した人形が人だと思っている。」

(自らが作り出した人形を人…)

「彼女は人を人だとは思っていない。」

「彼女にとって人はゴミなのよ。」

「彼女は一生の退屈に囚われている。」

「彼女は憂鬱に呪われているの。」

「彼女の心には穴がぽっかり空いている。」

「その毎日が憂鬱で、その穴埋めに人を殺める。」

「彼女は…世界を綺麗にしているのよ。」

「人間(ゴミ)が汚したこの世界を」

最後に女の人は笑った。

まるで自分を語るかのように。

『貴方が…Doll makerですか…??』

彼女は笑みを消さない。

「さぁ…どうかしら??」

お店が異常に静かだ。

「私が彼女だとして、証拠は??」

そうだ。証拠がなければ捕まえられない。

「貴方は本当に面白いわね。」

どこが面白いのか私には全くわからない。

「大丈夫よ。彼女は暫く動かない。」

なぜそう言いきれるのかも。

「その代わり、彼女のファンは動くでしょうね。」

『ファン…??』

ファンとは朝見たSNSの人達のことだろうか。

「彼女が消えようと、殺人は消えない。」

答えが一致した。

『彼女のファンがいる限り…』

綺麗に微笑んだ女の人は

「ふふっ。その通り。」

『ちなみにファンの数は!?』

そこが肝心なのだ。

ファンの数が多ければ多いほど防ぐことが難しい。

「この世界が消えない限り、ファンも消えないわよ。」

「もうお帰りなさい。」

店を出て考える。

(この世界が消えない限り…ファンは消えない…)

どういうことだったのだろうか。