利人とは逆側のあたしの隣に、クラスメイトの斉藤くんが並んできた。
「髪、今日は下ろしてるんだね。今日も可愛いわ〜、なゆちゃんはマジ目の保養!」
「ええっうれしい。 ありがとう〜」
「下ろしてるのも大人っぽくていいな」
「そうかな?今日は急いで家出てきたから、結ぶヒマがなかっただけなんだけど……」
そう返事をしながら、ちらりと利人を盗み見る。
いつも、ちょっと期待を込めて反応を伺うんだ。男子と話してるあたしを見て、どんな顔してるかな?って……。
でも、あたしが誰と何を話そうが、利人は心底どうでもいいらしい。
こっちには目もくれず、スマホに目を落として………いたかと思えば。
「あっ。土屋くん、おはよ〜っ」
女の子に声をかけられた瞬間、にこって。
そんなに優しい顔、あたしにはしないのに。
声を掛けてきた可愛い女の子は、こっちには見向きもしないで。
利人に甘い声を出しながら、あたしにはわからない生徒会の話をし始める。