利人、昨日も可愛い女の子と一緒にいた……。
「利人」
「なに」
「毎朝、一緒に行くのだるいって思ってる?」
「うん?」
話を聞いてなかったらしい利人が、あたしをのぞきこむ。
「だから。毎日あたしと一緒に登校するの、だるいって思ってる……よね?」
「はあ? 当たり前」
ぐさり。
容赦なく心の弱い部分に突き刺さる。
本人は、たぶん悪いと思ってないからタチがわるい。
あたしがその返事ひとつでこんなに傷ついてるなんて、知りもしないんだ。
だるいよね、そうだよね。
利人って、モテるし。
好きな子といられるかもしれない時間を、あたしなんかに当てなきゃいけないなんて……。
「……ごめんね、」
小さく零した声は、本当に小さすぎて利人には届かなかったみたい。
なんだか虚しくなって、明るい話題を探そうと頭を働かせた。
そんなとき。
「なゆちゃん、おはよ!」