「俺が見てなかったあいだ、言いつけ破った罰」
そう答えた利人は、こっちがなにか返す隙も与えずにまた唇を重ねた。
角度を変えて、下唇を甘噛みされると、心の真ん中あたりが切ないような甘いような、よくわからない気持ちになってぎゅっと狭くなった。
「下手くそ。口軽くあけて」
「ん……うぅ…」
キスが下手くそらしいあたしに、さりげなく呼吸のタイミングをつくってくれる。
それでも緊張からか、息はあがっていく一方。
酸素はほしいのに、唇が少しでも離れると不安になった。
ちょっとの隙間がこわくて、隙間をうめるように無意識に体を密着させる。
「利人……っ、ぅ」
これが罰なんておかしいと思う。
どこまでも優しい触れ方であたしの呼吸を奪っていくキスが──────こんな気持ちいいことが罰なんて、絶対おかしい。