「なゆは関係ない。これは俺の意思だから、あんまり指図しないでくれる」
「指図って……べつにそういうつもりじゃ……。意味わかんないよ、利人くんって女好きってわけでもないでしょ。 見てたらわかるよ、無理して他の子の相手してるよね……。なんで?」
「べつに “俺は”どう思われてもいいから、だよ」
詳しく説明するのも面倒くさいし、解ってもらいたくもない。
もういいだろ、とハッキリ態度に出してみれば、相手はあっさり力を弱める。
諦めたように息を長く吐きだして、オンナから普通の女子に変わった。
「はあ〜、もうやんなっちゃうな。利人くんと付き合いたかったのにー。もうやめた、 次はサッカー部のキャプテンでも狙うか〜」
「……、お前も意外とあっさりしてんね」
「失礼だよ、これでもけっこう利人くんに本気だったのに……。」