「土屋ってなゆちゃんには厳しいの?」
「厳しいよお……。スカート丈とか髪型とか門限とか……」
「いつも嘆いてるもんな。でも、男関係にはうるさく言われてないよね? オレたち男はみんな、すげー助かってる。なゆちゃんと毎日話せるから」
「……うん、たしかにそうだね。そーゆーことに関しては、全然注意されない、かも」
その事実に改めて気が重くなる。
まあでも、さすがに……男の子の部屋に泊まるとか言ったら、お目付け役の義務として止めてくれるだろうけど……。
えっ、止めてくれるよね⁉
あたしのハジメテが誰に奪われようが知ったこっちゃないって……思ってるかな。
あたしは利人がいいよ……。叶わぬ想いとか言わないで。
「なゆちゃん?真剣に考え込んでどうしたの?」
「うーん、なんでもなあい……」
隣で困惑してる斉藤くんを置いてけぼりにして、あたしはひとりの世界に入り込む。