呆然として足を止めるあたしを、斉藤くんが不思議そうに見てる。

それをわかりながらも、ぼうっと前のふたりを見ることしかできない。


生徒会の子が利人の腕をとって絡めるから、心臓がぎゅっと縮んだ。




「じゃあ利人くんは、私でもいいってこと?」

「うん」

「ほんとっ?じゃあ付き合ってほしいな〜」



女の子は冗談っぽく笑ってそう言ってるけど、絶対ホンキ。

土屋利人と付き合えるかもしれないチャンスを逃す人なんているわけない。


利人が誰かと付き合うってことになったら、もう、心がムリかも……。




「っだ、だめ………‼」


つくづくお行儀のわるいあたしは、ふたりの間に割り込んで、絡んでた腕を解いてしまった。