「はい、終わり 」


終わりの合図で、
目を開きゆっくり体を動かそうとした。


でも、翔馬によって止められる。



「翔馬離して。遅刻しちゃうよ 」


「少しだけだからねっ 」


何か体のことで良くないことを
言われるんじゃないかって…

強くなる不安。


無意識のうちに目を閉じて耳まで塞ごうとする。


そんなことした後に、翔馬の話をきちんと聞かないとダメだと思って目を開く。



「え……… 」


目の前には翔馬の真剣な顔があると私は想像していた。

けど………

なぜか胸のあたりに翔馬の顔があった。


肌に感じる翔馬の温かい吐息………


何しているの…?



びっくりして思考回路も停止しそうになったその時。


柔らかいものが、手術の傷跡のところに触れた。


赤くはっきりと線がついてて、

キレイなものじゃないのに…



そんなできたばかりの傷を癒やすかのように

優しく触れる唇。