「陽菜…? 」


耳に入ってきたのは怒りの声ではなく、

優しく問いかけるような声。



「もしかして、手術の跡見られるの嫌? 」


「…………… 」



その通りだけど、首を横に振って否定する。



翔馬が手術してくれたのに、

私の苦しみを取り除いてくれたのに


そんなこと気にするのがおかしい。





こんな拒否していたら説得力もないから
早く手をどかさないと…………。


そう自分に言い聞かせるものの、手が震えてしまう。




「陽菜、無理しないで。
俺には正直に思ったこと言って 」



「翔馬が大好きだから、見せたくないの…。
翔馬の前では少しでもきれいでいたい 」


これ以上嘘つけなくて、本音を出してしまったけど


私って最低だよ。

なんでこんなに心が醜いんだろう?


「ごめんね。変なこと言って… 」


申し訳なさしかなくて、下を向いてしまうと、翔馬の手が顔に添えられた。


なんで………?


傷を受け入れられないなんて

本気で私を想って治療してくれた、翔馬の気持ちを踏みにじるようなことと同じ


そんな意味のことを言ってしまったから、恐る恐る翔馬の顔に視線を戻すと


信じられないほどの笑顔。