あきらと私はおそろいの携帯を持っている。あきらが赤で私が青。2年契約だ。話し放題なので、いつもはあきらのバイトが終わった後に電話をしている。
あきらのバイトは23時30分に終了する。「スクール」で「喫茶」のくせに夜遅い。でも電話はそのくらいの時間のほうがいい。
私はお風呂に入ってパソコンを起動させて、ミリヤとか昔のあゆの動画を見てるころ。あきらからの電話を取って、今日のスクールの様子について聞く。
聞いていた。
今思えばあれが結構良くなかったのかもしれない。
「仕事帰りの疲れ」とか「仕事の愚痴を話したい気分」が分かる私は、今年で社会人3年目のオフィスガー…レディ。18才から働いている。今のあきらは働き始めたころの私より年上だし、正社員とバイトって差はある。でも、バイトにしたって疲れることはある。正社からしたらただのバイトだしね。本当はバイトのことなんてどうでもいいんだよ、って私自身のバイトに対する愚痴をこらえて、あきらの話を聞いていた。
私の悩み事はいえなかった。
だから良くなかったんだ。
私も仕事で疲れてた。誰かに話を聞いて欲しかった。あきらじゃだめだった。同じくらいの年で同じくらいの社歴で、できれば同じテンションの人に。ただし、私には致命的なくらい「友達」がいない。女の子にはずっといじめられてきた。それで女と付き合うなんてどうかしてる。男は嫌いだけど女も嫌い。自分? 嫌いになりすぎて最近はかわいく思えてきた。自分で自分に同情してる。
あーあ。
それでとにかく私はあきらの話を受け止め、「でもそんなにすばらしいバイトはないよ」って言ってた。
ちやほやされるんだからいいじゃない。
本当は女の子と付き合ってて、女として冷静に考えたときイタタな感じで、それでもそれがいいって言ってくれる人がいるんだからいいじゃない。私と付き合うよりそっちに行けばいいじゃない。
だめだ死にたくなってきた。