その週の日曜のことだ。私は午前中、まりあを連れて駅前の職場に出向いていた。アレンジフラワーの依頼が昨晩入り、対応できるスタッフがいなかったというのが理由。私もまだ勉強中だけど、一応正社員なので担当している。そもそも日曜に定休をもらえているだけありがたいことだ。佐富くんともうひとり若いバイトの女の子にまりあを見てもらい、アレンジフラワーを作り上げる。ふたりがおおと歓声と拍手をくれるので、どんなもんだいとちょっと得意になって上機嫌で帰宅した。

「お昼、どうしようか? パン屋さんで色々買って帰る?」
「まいあはめろんぱんがいいのよ」
「OKOK、そうしましょう」

駅前から少し歩くと、人気のパン屋さんがある。そこで両親の分もたくさん菓子パンを買い込んだ。木曜と日曜の私の休みの日は、なるべく私が料理係をするようにしているのだ。今日のお昼はラクしちゃおう。

大きなビニールいっぱいのパンと、もう片手にはバゲット。まりあは自分で歩くというので、彼女のペースで歩けば帰宅はお昼近くになっていた。

「ただいまあ」
「たらいまあ」

玄関のドアを開け、三和土に見知らぬ革靴が置かれていることに気づいた。大きなサイズ。男性のものだ。瞬時に嫌な予感が過った。

「あ、ぱぱー!」

まりあが叫び、靴を蹴散らし廊下を駆けていく。その先、リビングから姿を現したのは修二だった。