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「たった二週間で急展開ね、店長」
十六時の店内は、ちょうど客が切れ平和な時間だった。外が雨なのも客足に影響しているみたいだ。早番の阿野さんがあがる準備をしていて、佐富くんがさきほど大学から店舗に到着している。私は週一回の通し勤務だ。開店から閉店の十九時半まで務め、閉め作業を終えると二十時過ぎが帰宅になる。早番は十七時には上がれ、遅番は出勤が遅い分ラストまで務める。通しと遅番の日はまりあのお迎えを両親に頼んでいる。
正社員で店舗責任者なので、本来はもっと通し勤務をすべきだけれど、子どもが小さいという理由で、本社が時短勤務扱いにしてくれているのだ。私がいない日は、他店を兼務している社員かエリアマネージャーが閉め作業に来てくれている。子育て中の私にはありがたい労働環境だ。
「店長の元カレ、まりあちゃんに直接会ってハートを持ってかれちゃったのねえ」
阿野さんは面白そうに言う。私はため息だ。
「腹の立つ話ですよ。まりあがほしいから復縁してくれだなんて。馬鹿にしてるにもほどがあるんだから」
私はぷりぷり怒りながら答える。
「でも、その口ぶりだとまりあちゃんに嫉妬してるみたいよ」
私は阿野さんをぎっと睨む。
「嫉妬? どこがですか」
「まあまあ、怒らないでよ。まりあちゃんを理由に復縁ってことが気に入らないわけで、店長本人とやり直したいって言ってきたなら考える余地があるって感じに聞こえたからさ」
私本人と……そんなふうに言われていたら多少なりとも心が揺れただろうか。