ゴールデンウィークの後半、私は仕事だった。
まりあはお出かけの翌日こそ疲れてぼんやりしていたけど、その後は私の両親と買い物に行ったり公園に行ったりして過ごしたようだ。
何度も「パパくる?」「いつくるの?」を繰り返すそうだけど、「今度またね」と根気強く答えることで一応は納得してくれている様子だ。一緒に遊べたことで、まりあは多少安定したようだ。いつでも会えると思っているのかもしれない。
まりあのためにもまた修二と約束をすべきなのだろう。
修二もそれを望んでいる。まりあとは会いたくてたまらないはずだ。
それなのに、私は修二に連絡できずにいる。私から連絡すると言っておきながらまったくできていない。
理由はごまかしようもなく私個人の感情だ。修二の復縁の願いを断った。あんなに熱心に伝えてくれた気持ちを拒絶した。
修二は私に会いたかったのだと言ってくれた。まりあを愛しく思うようになったけれど、そもそもは私との仲を取り戻したかったと。
受け入れられなかった。
私にはもう後がないからだ。もし修二と復縁して、また破局したとき、今度傷つくのは私たちだけじゃない。まりあだ。
まりあはパパを永遠に失ってしまう。
私たちの一時の感情で寄り添い合うべきじゃない。それなら、父母として協力できる今のままでいい。
……そう、だから私ひとりがいつまでも気まずい気持ちで連絡しないでいるのはよくない。“父母として”まりあのために会わなきゃ。
そんなことを思いながら五月も真ん中を過ぎた。