「俺が陽鞠を一瞬でも諦めたりしなければ、この幸せは最初から俺の手にあったのにって思ってるんだ」
「修二、それは」
「俺はあのとき、陽鞠が苦しいなら仕方ないと思ってしまった。でも、逃げていたのは俺だったのかもしれない。向き合うことから」
私は首を振った。過去は変えられない。悔いても意味はないのだ。
「私もあの時、修二を諦めた。その結果、私だけがまりあを育てるっていう幸せを享受している。それは申し訳なく思ってる」
「あのときと違う選択ができるなら」
修二はそれでも食い下がる。
「陽鞠、もう一度考えてほしい。俺は陽鞠とまりあと一緒にいたい」
私は唇を噛みしめた。私もどこかでそれを望んでいるのかもしれない。
修二と再会してから、まりあと修二の絆を見るたび、私のしていることは間違いであるように思えて仕方がない。
私さえ、修二の気持ちを受け入れればふたりを引き離さずに済む。
だけどどうしても首を縦に振れない。私は意地になっているだけなのだろうか。
「陽鞠」
修二の長い指が私の顎を捉えた。
抗う間は、厳密にはあった。それなのに、私は不意打ちに屈したかのように唇を差し出してしまった。
三年以上ぶりのキスだ。
唇同士が融解しそうな優しくとろけるキス。私はこのキスを知っているし、このキスをくれる人を愛したのだ。
誰よりも深く。
「修二、それは」
「俺はあのとき、陽鞠が苦しいなら仕方ないと思ってしまった。でも、逃げていたのは俺だったのかもしれない。向き合うことから」
私は首を振った。過去は変えられない。悔いても意味はないのだ。
「私もあの時、修二を諦めた。その結果、私だけがまりあを育てるっていう幸せを享受している。それは申し訳なく思ってる」
「あのときと違う選択ができるなら」
修二はそれでも食い下がる。
「陽鞠、もう一度考えてほしい。俺は陽鞠とまりあと一緒にいたい」
私は唇を噛みしめた。私もどこかでそれを望んでいるのかもしれない。
修二と再会してから、まりあと修二の絆を見るたび、私のしていることは間違いであるように思えて仕方がない。
私さえ、修二の気持ちを受け入れればふたりを引き離さずに済む。
だけどどうしても首を縦に振れない。私は意地になっているだけなのだろうか。
「陽鞠」
修二の長い指が私の顎を捉えた。
抗う間は、厳密にはあった。それなのに、私は不意打ちに屈したかのように唇を差し出してしまった。
三年以上ぶりのキスだ。
唇同士が融解しそうな優しくとろけるキス。私はこのキスを知っているし、このキスをくれる人を愛したのだ。
誰よりも深く。