園内の芝生のスペースにはレジャーシートを敷き、持ち込んだお弁当を食べている家族連れも多い。結構ならんだし、私も作って持ってくればよかったかなあ。
私の考えをよそに、修二は眠ってしまったまりあを眺め、安らいだ表情を見せている。

「俺、早く歩き過ぎたかな? まりあを疲れさせてしまったかな。子どもと回るのが初めてだから、ペースわかんなくて」
「充分ゆっくり歩いてくれたよ。早めに休憩も提案してくれたじゃない。まりあテンションあがりまくってたから、消耗が激しいんだよ」
「まりあと一緒だと景色が違って見えるよ」

修二の言葉はしみじみと、幸せそうに響いた。

「陽鞠といろんなところにでかけたよな。遊園地とか、山登りとか、水族館のイルカショーとか。全部楽しかったけど、まりあと同じところに出かけたら、きっと違う楽しみ方ができるんだろうな」
「私とだって、まだ行ったことないところだらけだけど」

私は皮肉っぽく笑ってみせる。

「修二がよければ、またこうして遊びに連れてきてよ。まりあが喜ぶから」

こんな頼み方をしてしまっては、修二に気を持たせてしまうだろうか。だけど、私はこの瞬間を楽しんでいた。楽しかった思い出をなかったことにしたくないし、今の正直な気持ちは伝えておきたい。
修二とまりあ、三人でやってきたレジャースポット。もっともっと、まりあが笑うところを見たい。
それは私だけが見るのでは駄目なのだと思う。修二も揃っていなければならないのだと思う。