「も~、まりあ! 走って行かないってお約束したでしょ」

ちょっと怒った顔でまりあを見ると、修二の腕の中まりあは私を睨んでいる。まあ、一丁前な態度じゃない!

「俺がちゃんと捕まえてなかったせいだよ。ごめんな、まりあ」

修二が自分の非をあげると、まりあはとびきり寛大な様子で言った。

「いいのよ」

さらには修二の頭を撫でている。いいのよ、じゃないわよ。パパがメロメロだからって、その態度!
逃走を防止しようと、両サイドからまりあを挟んで私と修二で手を繋いでみた。まりあは身体を浮かせて足をぶらぶらさせて喜んでいる。

「これ、子どもがものすごく好きなヤツじゃないか」
「捕まった宇宙人スタイルね。まりあ、大喜びよ」

結局まりあは、それからしばらく私と修二の手にぶら下がって歩いた。
少し早めに園内中央付近の売店でお昼を購入した。列に並んでいるうちに、まりあは修二に抱っこされてぐっすり眠ってしまった。ものすごく疲れたのだろう。
まりあが寝てしまっては、私と修二が積極的に園を見て回る理由もない。私たちはのんびりとガーデンチェアに腰かけ、買ったコーヒーや焼きそばを食べた。まりあのために買ったクマの形のカステラは起きたらあげることにしよう。