「S組に美少女が転校してきたらしいよ」
「それ噂の莉叶様の双子でしょ?」
「顔そっくりだって」
「S組ってことは頭がいいのね」
「双子、帰国子女なんだって」
「名前なんて言ったっけ?」
「えっと、たしか…てんし?」
「天使(あまつか)よ。天使莉恋様」
「起きて、莉恋」
「んー。おはよ、莉叶。」
まだ眠たい目を開けると、莉恋の大好きなドアップの莉叶の顔。
(あー、好きや)って毎日思うんよね。
莉恋は見ての通り朝がものすごく苦手やけん、莉叶が毎日起こしに来てくれちょる。
贅沢やな〜って毎日思っちょる。
「みんな待ってるけん、早く着替えてリビング来て」
そう言って、莉叶は莉恋の頬にキスを落とす
莉恋は急いで着替えて、リビングのドアを開けた。
「おはよ、りー」
「おはよ、パパ」
そう言って、パパは莉恋をハグし、頬にキスを落とす。
ハグとキスはイギリスに住んでたときの名残やけん、家族とか、親しい人には絶対しちょる。
パパは40代だけど、見た目は20代でも通ると思う。
「おはよ、りっちゃん」
「おはよ、ママ」
ママも同様に莉恋をハグし、頬にキスを落とす。
「さぁ、みんな揃ったことだし、いただきましょ」
「そうだな」
「そういえば、りー。今日、莉都帰ってくるぞ」
「ほんと?早く会いたいけん、空港まで迎えに行ってもいいと?」
「ああ。莉叶も行くならな」
「莉叶…」
「よかよ」
「ありがと!莉叶ばり好いとう」
「僕も」
「あっ、そうや。莉恋、俺の仲間も一緒に連れてっていいと?莉都兄に会いとうって言っとったけん」
「別によかよ。何人?」
「4人や」
「わかった。さすがにいつもの車には6人だときついけん、リムジンでいいと?」
「そこは莉恋にまかす」
「了解」
「神蔵(かみくら)」
「はい、お嬢様」
「リムジンで莉都兄迎えに行きたいけん、用意して」
「かしこまりました」
「莉恋」
「なぁに?パパ」
「気をつけろよ。ぼーっとしてないで莉叶と離れないようにするんだぞ。」
「わかっとるけん」
「そろそろ時間やけん、莉恋行くよ」
「うん。行ってきます」
「莉叶のお仲間さん?どこにいると?」
「あぁ、倉庫ばい」
「倉庫かぁー。懐かしいな」
「そーやね」
莉叶は苦笑した
懐かしいなぁ。昔を思い出す。
もう思い出したくもないのに、
ずっと心に張り付いてる辛い記憶
「大丈夫?莉恋」
「うん」
「莉恋、男は狼やけん、気をつけとき」
「うん?」
「到着しました」
「ありがとう」
「じゃあ、僕は呼んでくるけん絶対に車から出ちゃだめばい」
「莉恋も行ってみたいけん、着いてっちゃだめと?」
「うっ。わかっちゃよ」
「ありがとう、莉叶」
「莉恋、僕の後ろに隠れとき」
「うん」
顔も性格もそっくりって言われんのに、双子でもこんなに身長が違うんやな。
なんか不思議や。
「莉恋?どげんしたと?」
莉叶は莉恋の視線に気づいたみたいや。
考えてることまではわからんかっちゃみたいやけど…。
「なんでもない」
「じゃあ、入るよ」
莉恋は莉叶の後ろに隠れた。
なんか、かくれんぼしちょるみたいで懐かしいなぁ…。