いつも通り、彼はわたしの唇を奪う。

流されてしまう前に。

初めて彼を拒否した。

驚いた顔をして「どうしたん?」と言う。

「もう...会うのやめる」

言葉を詰まらせながら、精一杯声を絞り出した。

彼には「やめる?」と聞こえたのか、

「やめへんで。また会うで。」と答えが返ってきた。

「そうじゃなくて、もう会わへん。」

「...わかった。」

ぎゅっと強く抱きしめられた。

彼の目は赤かった。

本当は「なんで?」とか「嫌や、会おう」と
言って欲しかった。

いつも欲しい言葉をくれない彼。

ちょっと笑えた。泣けた。

でも彼の目にも涙が溜まってて、

赤くなっていてことに安心した。

私との別れちょっとは悲しいんやって。