人々の想いは、今何処にある?
…全てを話し終えた後、荒い息を整えると不思議に気持ちは落ち着いていた。
何百人もの民に、また次々と人が混ざっていく。
一体、この広大な土地の国には何人の民が住んでいるのだろう?
「…よく話は聞いた。自分は、記憶をなくしていたと」
「はい、そうです。嘘偽りひとつもありません」
空気が、一瞬変わった気がした。
老人の、その小さくて丸い目に威圧感を感じる。
目を合わす事さえ、苦痛に思えてきた。
…認めてくれたのだろうか? それとも……。
「信じるものか!!」
急に発せられた大声に、一瞬怯える。
「…今、何て?」
ちゃんと聞いてた?
俺の話。
「急に信じろなんて言われて、信じられるものか!!お前だってそうだろう!?いきなり出てきて王だと言っても、その者を信じる事がお前にはできるのか!?」
言っていたのは、今まで話していた老人ではなかった。
老人は丸い目を、更に丸くして1人の男を見つめていた。
いかにも誠実そうな、茶色い髪をした男。
「たとえお前が『マーク』をしるしたといえど、所詮それは誰にでも言える事!!この国に、お前を信じる者などいない!!」
「ちょっ、待ち!!『マーク』って何ですか?」