この薔薇園が、俺はこの世で1番好きだった。
時々吹く風は、薔薇の何ともいえない甘い香りを運んでくる。その風の中に、見慣れた姿が見えた。
「レディック様。勉強の時間です、国学のムーストン先生がお見えですよ」
濃い青色を含んだ茶色い髪と、青色の動きやすそうな隊服。いつでも感情を表に出さないが、整ったその顔を見れば相手にされなくとも、ついてくる女性はたくさんいるだろう。
年はあまり離れてないはずなのに、この差は何だ?
俺は読んでいた『未来予想図』という本を閉じ、自分を警備してくれている騎士の顔を素直に見上げた。
レベッカ・ラクロイム。
レディック王太子殿下の身辺警備を担当する一流騎士だ。
いつの間にか手の届く範囲にいたレベッカは、主の顔から一瞬目をそらし俺が脇に抱えている、本に興味を示した。
「何ですか、その本は。…未来予想図?」
「あぁ、有名な世界中の学者が集まってまとめた、未来の世界を書いたものだよ。…まぁ、学者が分かるような単純な未来じゃ困るけど」
本の表紙を叩き、語る俺を見つめながらレベッカは密かにため息をついた。
「相変わらずですね。考え方は変わってない」
時々吹く風は、薔薇の何ともいえない甘い香りを運んでくる。その風の中に、見慣れた姿が見えた。
「レディック様。勉強の時間です、国学のムーストン先生がお見えですよ」
濃い青色を含んだ茶色い髪と、青色の動きやすそうな隊服。いつでも感情を表に出さないが、整ったその顔を見れば相手にされなくとも、ついてくる女性はたくさんいるだろう。
年はあまり離れてないはずなのに、この差は何だ?
俺は読んでいた『未来予想図』という本を閉じ、自分を警備してくれている騎士の顔を素直に見上げた。
レベッカ・ラクロイム。
レディック王太子殿下の身辺警備を担当する一流騎士だ。
いつの間にか手の届く範囲にいたレベッカは、主の顔から一瞬目をそらし俺が脇に抱えている、本に興味を示した。
「何ですか、その本は。…未来予想図?」
「あぁ、有名な世界中の学者が集まってまとめた、未来の世界を書いたものだよ。…まぁ、学者が分かるような単純な未来じゃ困るけど」
本の表紙を叩き、語る俺を見つめながらレベッカは密かにため息をついた。
「相変わらずですね。考え方は変わってない」