「……渡したいもんがあるんだけど」


ふいに銀星がそう言って、戸棚の中から何かを取り出す。


そして、私の手を取ると薬指に指輪を嵌めた。


「……指輪？」


私は驚いて自分の指にぴったり嵌った指輪を見た。


真ん中に蝶の形をしたラインストーンが付いていて、光にかざすとキラキラと反射して綺麗だった。


「……安物だけど。いつかちゃんとしたやつ贈るから、待ってて欲しい」


銀星は照れくさそうに笑った。


その薬指には、同じ色をしたお揃いの指輪が嵌められている。


「ありがとう、銀星。大切にするね」


私は嬉しくて思わず銀星に抱きついた。銀星も私を抱きしめ返してくれる。


いつかちゃんとした指輪をくれると言ってくれたということは、この先ずっと私と一緒に生きることを決めたということだ。


私ももちろんそのつもりだが、改めて銀星の口から聞かされるとやっぱり嬉しい。