男が銀星に向かって拳を叩き込む。


銀星はその拳を避けると、素早く男の背後に回り、蹴りを食らわせた。
男の身体が吹っ飛び、地面に叩きつけられる。


「……銀星」


私はボロボロになった銀星の身体を支えて、彼を見上げて笑った。


銀星は私を抱きしめると、「悪かった……俺のせいで、また怖い思いをさせたな」と言った。


私も銀星を抱きしめ返し、首を横に振る。


「ううん……私のほうこそ迂闊だった。迷惑かけてほんとにごめんなさい……」


謝りながら、私の声は最後は消え入りそうなものになった。
だけど、銀星は私を抱きしめる手に力を込めて、優しく囁いた。


「気にすんな。俺がお前を守りたいだけだから」


私は銀星の優しさに触れて、また彼のことが愛しくなった。


私と銀星は、今まで自分ひとりの力だけを頼りに生きてきた。
でも、今は違う。信頼できる相手がいて、みんなで協力して戦ってもいいのだと、やっとわかった。


私達は、もうひとりぼっちじゃないのだから。