「お待たせいたしました。プレーンワッフルです」
 私がアイザックの前にワッフルを置くと、彼がお礼を言う。
「アイザック様。夏休み期間中に一時帰国なさったらいかがですか? ご家族も心配していると思いますし」
「帰国はしない。報告は定期的にしているから問題ないし。それに、俺はウォルガーと天使とみんなで別荘に行く予定があるからな」
「えっ、別荘って天使様も一緒なの?」
「聞いていないのか」
「友達と一緒としか聞いていないわ。仕事があるから断ったし。神のご加護が私にはないみたいだわ……」
 マイカはテーブルに伏せると、じめじめと重苦しい空気を背負った。

「マイカ、注文は? シルフィが待っている」
「……いつものお願いします」
「承知いたしました。ケーキセットですね」
 マイカがいつも注文してくれるのは、ケーキと紅茶が一緒になっているケーキセット。ケーキも茶葉も日替わりなので毎回違う味を楽しめると、カフェタイムの一番人気だ。
 アイザックもマイカも常連のため、注文するメニューはすでに決まっている。
 私はオーダーを聞いた後、厨房へ。

 いつも元気なマイカの印象が強いから、落ち込んでいる彼女を見て胸が痛むわ。私にできることってなにかないかしら? 元気になってくれる方法があればなぁ……。
 悶々とした頭で厨房の扉を開けると、ふと頭にいい案が浮かぶ。