「ねぇ、シルフィ。かき氷って、氷を削ったものなの?」
「うん。甘いシロップをかけて食べるの。イチゴやメロン、後は抹茶や小豆などのいろいろな種類があるんだよ」
「小豆のかき氷ならできるんじゃない? あー、でも白玉欲しくなるか。白玉粉がないよね。もち米ないから」
「お米で代用できると思うよ。ゆでたり蒸したり。お団子屋さんによっては、米を蒸して作っている所もあるから。おいしいよ。もちもちして」
「あー、団子屋って聞いたから団子が食べたくなるわ。しょうゆ団子おいしいんだよね」
「お団子も作ってみようか? 運河沿いの輸入品のお店でお米を数種類購入して合いそうなものを探してみよう。もうすぐ夏休みだし」
 お団子をお店のメニューに加えたいなぁ。かき氷っていろいろなバリエーションがあるから、味も変化させられるので甘いものが苦手な人でも食べられそうだし。

「いいね、もうすぐ夏休みだし!」
「長期休みの前にテストがあるわ」
「そうなのよね。なんでまたこの年でテスト勉強しなきゃならないんだろう。憂鬱だわ」
 ルイーザがため息を吐き出す。

「シルフィもルイーザも夏休みはどこかに行くの?」
「私は毎年ウォルガーが所有している別荘地に泊まりにいくのが定番なの。両家の家族も一緒に。でも今年は家族ではなく、アイザックが一緒よ」
「うらやましいわ。私は、ラルフ様とお会いしてもあまり話をしないから……お話ししても天気の話くらいかな」
「えー、マイヤーヌのところは十分だと思うけれど。私なんて殿下と冷え冷え。世間話どころか、天気の話すらしない。ただ、挨拶だけ! 近づくな話かけるなオーラが半端ないんだよね」
 ルイーザの話を聞き、私は首をかしげた。
 私が知っているエオニオ王太子殿下とはまったく違うからだ。
 夜会でお会いすると優しく微笑んで声をかけてくれるから好感度が高い。万人に穏やかで、さすが王太子殿下という印象を持っている。

 どうやらそう思うのは私だけではなく、マイヤーヌもらしい。
 信じられないという表情で聞いている。