「本当にシルフィ様のおかげです。皆、シルフィ様には感謝しているんですよ。事業がもとに戻りますし、なにより自分たちが作っているリネン製品がいろいろな人の手に取ってもらえるようになります」
「いえ、私は……なにも……」
 工場長やニキさんの言葉を聞き、私は首を横に振った。
 必死だったし、もともとはグロース家とラバーチェ家の確執が原因なので、私が動くのは当然だったから。
 それに、私だけじゃなくて、みんなの力が形になった結果だ。

「リネンだけではなく、メイドカフェも人気じゃないですか。料理もとてもうまいのでカフェとしても魅力的ですし。うちは飲食関係の事業展開はしていないのですが、もし事業を拡大させたい時は人を紹介しますよ」
 ニキさんはそう言ってくれたけれど、メイドが私とルイーザのふたりだけなので今の店だけで手いっぱいだ。

「とりあえずは今のままかと……」
「そうですか。きっとほかの場所でも人気になると思います。気が変わった場合にはぜひ」
「ありがとうございます」
 そろそろ戻らないといけない時間だ。

 王都まで片道三時間はかかるし、今日はメイドカフェの予約が入っている。一応、ヘルプで人をふたり雇って手伝ってもらってはいるけれど。