「エクレール。グロース家の娘、シルフィと学校が同じだったな」
「それがなにか?」
世界で一番嫌いな女の名が出たため、私は思わずティーカップを強くソーサー置いた。
硬質な物同士がぶつかる耳障りな音が響く。
シルフィ・グロース。
あの女の名を聞いただけで私の感情が波打つ。
口内に残っていた蜂蜜たっぷりの紅茶の甘い余韻が、急に苦々しいものに感じられた。
あの女は学園内で『天使』と呼ばれ、男女問わずみんなから慕われている。
なにが天使だ。成り上がり一家のくせに。
ゴールドの校章を見るだけで虫唾が走る。
「学校ではどうだ?」
「相変わらず目障りですわ。私の視界から消えてほしいです」
「退学にしてやればいい」
「考えましたわ。いじめ倒して学校に来られなくしようと。ですが、男がべったりとシルフィのそばに張りついていて邪魔なのなんのって」
私は綺麗に整えられた親指の爪を噛む。
入学式で出会ったあの男。
校章の色はブロンズだった。
男は、私の邪魔をしただけではなく、シルフィを傷つける者は何人たりとも許さないとでも言うような冷酷な怒りを私に向けてきた。
シルフィと同じクラスらしく、姫を守る騎士のごとく一緒にいるため近づけない。
「それがなにか?」
世界で一番嫌いな女の名が出たため、私は思わずティーカップを強くソーサー置いた。
硬質な物同士がぶつかる耳障りな音が響く。
シルフィ・グロース。
あの女の名を聞いただけで私の感情が波打つ。
口内に残っていた蜂蜜たっぷりの紅茶の甘い余韻が、急に苦々しいものに感じられた。
あの女は学園内で『天使』と呼ばれ、男女問わずみんなから慕われている。
なにが天使だ。成り上がり一家のくせに。
ゴールドの校章を見るだけで虫唾が走る。
「学校ではどうだ?」
「相変わらず目障りですわ。私の視界から消えてほしいです」
「退学にしてやればいい」
「考えましたわ。いじめ倒して学校に来られなくしようと。ですが、男がべったりとシルフィのそばに張りついていて邪魔なのなんのって」
私は綺麗に整えられた親指の爪を噛む。
入学式で出会ったあの男。
校章の色はブロンズだった。
男は、私の邪魔をしただけではなく、シルフィを傷つける者は何人たりとも許さないとでも言うような冷酷な怒りを私に向けてきた。
シルフィと同じクラスらしく、姫を守る騎士のごとく一緒にいるため近づけない。